ボルドーにある、ろう者が経営するシャトー
朝8時、ガイドさんにホテル前まで迎えに来てもらい、ろう者のシャトーに向かいます。
写真左がボルドー出身のトーマスさん。そして右が日本人の永井さん。今日はこのふたりのろう者にガイドしてもらいました。
ボルドーを出てから約1時間半後、ろう者のシャトーに到着!
Domaine de Grange Neuveというシャトーです。
地図で見ると、サンテミリオンの奥のポンポール(Pomport)というところにあります。
天気はどんよりとしていますが、空気がとても澄んでいました。日本でいうと田舎の秋みたいな感じ。
早速、シャトーに入ります!
写真左のこの女性が、ここのシャトーを運営している、Paulette(ポーレット)さん。ろう者です。
フランス手話を使って説明していただきました。それを永井さんが日本手話に通訳、ときどきトーマスさんがヘルプといった感じでガイドしていただきました。大変分かりやすかったです。
ポーレットさんはとても熱心な方で、ワインへの情熱がひしひしと伝わってきました。
かなり本格的な設備です。
このフタ。なんだと思いますか?
ポーレットさんがおもむろにフタを開けます。
そして、マッチで木の棒にくくられたロウソクに火をつけて…
でも冷たい風がヒューヒューと入ってくるからか、なかなか火がつきません(笑)
やっとロウソクに火が灯ったところで、木の棒を中に入れていきます。
発酵したワインからは大量のガス(二酸化炭素)が出てきます。そのガスによる中毒を起こさないために、こうしてロウソクの火が消えないかどうかを確認しています。火が消えなかったら問題なし。もし火が消えたら、それは酸素が無い=ガスが充満しているというサインだということです。
これは人命に関わる大切なことで、昔からこのような方法で確認作業を行っているようです。
いろんな器具や機械があってワクワクします。
ポリタンクには真っ赤な液体が。発酵している最中なのか、グツグツと泡が出ていました。もうこの時点でおいしそう。。
その日の天候や気温に応じて、温度を調節するそうです。タンクに直接マジックで細かくメモされています。
定期的に温度や糖度のチェックを行っているようです。
撹拌?をおこなっている様子。ブドウの匂いがすごく濃厚でした。
ここでは、赤ワインや白ワインだけでなく、ロゼワインも作っていて、ロゼの場合は一晩だけ発酵させるようです。
当事者が手話でワイン造りを語る、って素敵ですね。
ブドウを採取するためのマシーンも見せてもらえました。これは古いもののようで、今はもう使っていないとのこと。
こっちが現役のマシーン。ポーレットさんに乗ってもいいよと言われたので、乗りました!
視点がかなり高い!中はコクピットみたいでカッコ良かったです。
この巨大なタイヤとタイヤの間でブドウの木を挟むようにして採取していきます。なんというかガソリンスタンドによくあるような自動車用の洗浄機みたい。これ、中に入ったら相当やばそう…
次は、ワインのラベルやコルク打ちを見せてもらいました。至れり尽くせりです。
なるほど、こうしてクルクルとラベルにシールがはられるんですね。
これはコルク打ち。
きれいなシール。「Médaille d’Or Paris」というコンクールで賞をもらったそうです。
後々ググってみましたが、これはパリの農産物コンクールで、品質や味に優れた産物に授与されるものだそうです。すごい!
写真にうつっているダンディーな男性が、ポーレットさんのご子息で、ここシャトーの五代目だそうです。コーダ(ろう者の親を持つ子供のこと)ですが、お忙しそうで残念ながら話す機会がありませんでした。
ポーレットさんが、ろう者の経営者が途絶えてしまうことを嘆いていたのが、印象的でした。
いったん外に出たところで、ブドウを一粒つまみ食いしました(もちろんポーレットさんから許可をいただいています)。やはりワイン用だからか、それほど甘くありませんでしたが、酸度がほどほどあって美味しかったです。
地下セラーも見せてもらいました。雰囲気が一変。
こんな感じで樽の上部にシリコン製のフタがはまっています。ここからワインを入れていくようです。
次は、お待ちかねの試飲会!ろう者のゲストだからと、特別にたくさんのワインを飲ませていただきました。つづく。
コメントComments